画商業を一人で始めたはいいものを、妻と幼い娘一人を抱えて稼がねばならない重圧感はあります。
親から借金をして、外回り用の中古車を買い、絵の在庫もないので東京の某画廊に保証金を支払い、更に残りのお金を当面の営業資金にしました。
さてお客さんは一人もおりませんし、百貨店での販売も個人商店の私では相手にさせてもらえません。
そこで書店さんへ営業をかけてみました。
東北の書店への営業た。秋田と青森の書店さんの外商部が、提案を受け入れて頂き5月に日程調整しました。
当時の大手書店には外商部があり、医学書とか大学の専門書とかを扱い大手病院、小中高等学校、大学など巡回しておりました。
外商員の人脈は、お医者様から学校の教職員を中心に商売をしている関係で、絵画に精通しておられ、購買力もあるお客様が多く抱えていると思われます。もちろん、外商員と一緒に絵画販売のためにお客様を回るわけですが、それで売れる保証などありません。
因みに私が扱っております美術品は、フランス巨匠版画作品です。
例えば、ピカソ・シャガール・ルオー・マティス・ミロ・ローランサン・ブラック・イカール・カシニョール・ビュッフェなどです。
どの作家も日本で人気があり、美術館なども所蔵展示している巨匠たちのオリジナル版画作品です。
今回は20点ほどの作品を選んで車に乗せて、私の好きな5月の晴天の日の初仕事へ出かけました。
なんせ貧乏画商ですから、高速道路も使えず先ずは秋田の書店さんへ向かいました。出張旅費も馬鹿になりません。安宿に泊まり、あらゆる経費を節約します。
有難いことに、最初の能代市のお医者様にイカールの「クリノリンの娘」カラー銅版画が売れました。3日間の外販でトータルで3点の売約がありやっと息がつけた気持ちでした。
書店さんの関係者にお礼を述べて、八戸の書店さんへ向かいます。
秋田から八戸市へは、車で当時6時間以上かかったと思います。節約のため車中泊しました。
八戸では、2日間で1点ユトリロの「ムーランルージュ」オリジナルリトグラフが売れました。
アートライフで勤めていた時とは違い、お客様の前で緊張するは、脂汗はでるは、大変でした。
若干32歳の若輩者で、駆け出しの画商は仕事から解放されて、仙台からは高速道路を使い帰路します。
次は、「えーこれバブル!」です。
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